川柳から見る日本現代社会―2000年以後の川柳を通して

川柳から見る日本現代社会―2000年以後の川柳を通して

吕娟

(青岛酒店管理学院旅游与酒店管理学院山东青岛266000)

中图分类号:G623.36文献标识码:A文章编号:文章编号:1673-0992(2011)05-0000-01

一はじめに

川柳は文芸の一つのジャンルであり、その時代をもっとも反映している。川柳は人間の考えや思いを詠む文芸である。川柳は社会の鏡であり、社会への痛烈なメッセージと言われる。だから日本の様子を理解する場合、川柳から眺めてみるのも一つの良い方法である。

川柳は俳句と同じ五、七、五の十七音であって、世界で一番短い文芸である。だが川柳は季語や切れ字の約束ごとがなく、口語を用いて、ユーモアのあるで、簡潔な文芸である。

川柳は庶民性がある文芸である。川柳は誰でも作れる。メッセージとしての川柳で一番肝心なことはそれがどれだけ読む人の共感を得られるかと言うことである。何を言ったのか、相手に分かってもらえないなら、川柳とはいえない。だから、日本のことを詳しく分からないと、つまり日本通でないと、川柳が分からない。川柳が読めれば、日本のことを詳しく分かっている証拠である。

川柳の題材は自由で様々である。世界、政治、事件から国民の日常生活までである。川柳は「笑い」と密接な関係にある文芸である。川柳を読んで、笑ってから、自分の心の中に共鳴を得て、その鏡の中に、自分の姿或いは他人の姿が見られて、日本の社会の様子が分かってくる。

川柳はタイミングである。時代性があるから、社会背景と深い関係がある。つまり、川柳を読むためには、その時代の背景がわかなければならない。社会現象は一定の背景の中で生じるものである。だから、川柳から社会背景を通して、社会の様子が分かってくる。

私は今日本の社会がどのような様子なのかと言うことに興味を持っており、詳しく知りたいと思っている。いくつかの川柳を選び、その意味を解説しながら、日本現代社会の様々な様子について考察する。

二川柳からの考察

1野球

インターネットで野球の歴史を調べてみる。

明治時代、二人のアメリカ人教師が野球を日本人に教えたのが日本における野球の始まりだと言われている。さらに平岡ひろしがアメリカに留学してBostonRedSoxファンになり、1878年に日本で最初の野球チーム「新橋アスレチック倶楽部」を作った。

1896年、第一高が米国人の横浜アスレチック倶楽部に勝利し、野球人気に火がついた。それから、野球は少しの綻びもなく繁栄の一途を辿って来た。

赤瀬川原平は雑誌「世界」2005年5月「日本人はなぜ野球が好きなのか」の中で次のように言う。

野球は日本で一番人気があるスポーツである。近年はサッカーブームだが、サッカーと言うのは常に動いている点がフェンシングみたいである。ところが野球は敵味方じっと対峙する時間が長くて、日本の剣道みたいだ。間と言うものが多くあって、日本人に向いているのだと思う。

プレイが静かで区きりがあって、厳密であるところ、ルールが潔癖であるところなども、

日本人の好みに合っている。そんなことをいろいろ考えていると、実は意外にも、日本の

国技である相撲に似ているのである。

双方プレイする選手ごとに呼び出しがあり、それから土俵入りをする。野球の土俵はバッターボックスとピッチャーのマウンドである。

双方の勝負の前に仕切り直しがある。野球ではツースリーまで。相撲は制限時間いっぱい。野球のファールは相撲の待ったであろうか。双方仕切り直しのたびに、足で地面をならす。力士も投手も打者も。そう考えていくと、全く違う競技なのにいちいち符合する点が多く、不思議に思う。考えたら野球と言うのは団体競技なのに一人ずつ平等に打席が与えられて、いかにも民主主義というか、母性的な平等の気分にうまく合ったのかもしれない。

野球は日本で深く根付いている。日本の男の子に「将来はなんになりたいか」と聞くと、「野球選手になりたい」と答える人が多い。中国ではほとんどの男の子は「軍人になりたい」と答える。野球はそれほど日本の国民に人気のあるスポーツである。日本では野球に関する川柳も少なくない。いくつかの川柳を選んで、説明する。

(1)程々に勝てば良いのにタイガース

タイガースは阪神タイガースと言う野球チームを指している。阪神タイガースは大阪の野球チームである。2003年9月に本拠地甲子園で悲願の優勝を決めた。浪花の全国の虎ファンが待ちに待った18年ぶりの栄光。阪神タイガースは強くなった。強すぎる、立派すぎる、ダメな選手が一人もいない。お家芸のチーム内分裂もない。これじゃとりつくしまもない。18年ぶりに勝った。ちょうどいい程度で勝てばいい。それほど勝たなくてもいい。つまり、阪神タイガースは強すぎると言う意味である。

(2)死のロード後がいつもと大違い

これはまた阪神タイガースについての川柳である。ロードって言うのはプロ野球のチームがホームグラウンド以外の球場でする試合のこと。阪神にとっては、大阪がホームグラウンドで、あっちこっちへ行くのがロードである。ホームウラウンドで野球をやるのは良いけれど、外へ出て、東京へ行ったり、名古屋へ行ったりして、たいへんであるから、死のロードと言われた。死のようなロードで試合が続いて、いっぱいあるので、たいへん疲れる。だから、ホームグラウンドに帰ってきて、負けることが多いが、今年だけは意外に勝った。今年のタイガースはいつもと違うという意味である。

2オレオレ詐欺

オレオレ詐欺は今日本で起こっている。「オレオレだ」は流行語になった。

オレオレ詐欺が目立つ始まったごろ、被害者の多くはお年寄りである。かわいい孫や子供が事故を起こした。借金をしても、お年寄りは何とかしてやろうという気になる。その優しさを巧みに突く。

だましの手口は息子や孫を装って、或いは警察官や弁護士を名乗って、田舎のおばあさんやおじいさんに電話し、交通事故を起こしたと告げるのが一般的だ。電話をする人は普通名前を言わず、ただ「オレオレだよ……」と言う。電話を受けた側は肉親が事故の被害者であることを知らされただけで動転し、冷静な判断力を失ったしまう。電話の話を疑うことも忘れさせてしまう。事故で壊れた車の修理代やけがの治療費を口座に振り込むように仕向ける。

オレオレ詐欺は高齢者を狙った、親の子を思う気持ちや孫をかわいがる気持ち、家族を大切にする気持ちを利用した卑劣な犯罪である。

この犯罪の温床になっているのは、プリペイド式携帯電話で、振込み先はインターネットで売買されている銀行口座が多いである。注④

(3)オレオレと昔はサッカー今は金

「オレオレ」は外来語で、サッカーを応援するときに使う、掛け声である。一方「オレ」は自分のこと指す。「私」という意味である。「オレオレ」はお金を騙す時によく言う言葉になってしまった。

(4)オレオレ亭主と知りつつ電話切る

この川柳からご主人はまじめな夫ではないということが分る。ご主人が奥さんに電話して、いつも「オレオレだよ、お金をくれ」や「オレオレだよ、今晩遅くなる」などと奥さんに言う。奥さんはこれが「オレオレ詐欺」ではないと知りつつ、嫌だったので、(亭主と知っていたが)、電話を切った。

三終わりに

以上は川柳から見た日本現代社会のさまざまな様子である。また別のいろいろな話題があるので、これからはもっと詳しく研究したいと思う。

高等教育を受けて、言葉はたくさん知っていなければ、良い川柳は詠めないという風に思ったり、言ったりしている人もあるようであるが、川柳を詠むのは知識ではなく知恵である。知恵は学校とは関係なく、生きて暮らしているうちに一人でにつくものである。長く生きて暮らしているうちにだんだんとつくものである。

川柳を詠むのは、豊かな生活経験も必要である。日本の現代社会に関心を持って、川柳を今後とも味わっていきたいと思う。

参考資料:

[1]大伴閑人.『川柳、もの申す』.岩波書店.2002年1月.

[2]復本一郎.『俳句と川柳』.講談社現代新書.1998年6月.

[3]山藤章二.『ぼけせん川柳3000句』.講談社.1997年3月.

[4]『日語知識』.大連外国語学院.2003年3月.2003年6月.2003年7月.

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